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2009~2013年の中国における日米韓の特許出願状況の分析(抄訳)

改革開放から30数年来、特に「国家知的財産権戦略綱要」の発表、実施以降、中国の特許関連事業は著しい進歩を遂げ、2011年以降、特許(実用新案、意匠を含まない)の出願件数が毎年世界一となり、2013年には中国が受理官庁として受理した国際出願件数が世界第3位となった。特に注目に値するのは、近年中国の特許保護レベルが更に強化され、イノベーションの環境が向上して、中国で特許ポートフォリを形成するようにより多くの外国出願人を惹きつけるようになったことである。この文章は2009年~2013年の中国における日米韓の特許出願件数データを用いて、中国における主な外国出願人の特許ポートフォリについて統計分析をしたものである。
1、米国
(1)概況
2009年~2013年の中国における米国の特許出願件数は合計135138件である。5年間の年平均増加率は8.3%であり、常に着実に増加する傾向にある。2013年には中国における米国の特許出願件数が29992件になり、2009年の1.4倍となった。

図1 中国における米国の特許出願件数(省略)

(2)主な出願人
中国における米国の特許出願は主に米国の多国籍企業であり、2009~2013年の特許出願件数が上位10位の出願人は、クアルコム(6029件)、ゼネラルエレクトリック(5875件)、ゼネラルモーターズ(5697件)、マイクロソフト(3957件)、アイビーエム(3293件)、スリーエム(2405件)、インテル(2245件)、フォード(2160件)、ヒューレットパッカード(1337件)、ダウグローバルテクノロジーズ(1310件)、及びアップル(1290件)である。
このうちクアルコムは無線通信技術を研究開発する会社であり、5年間常に米国出願人の上位3位に入っている。近年中国企業の通信分野における特許が大幅に増加し、件数的に優位になったにもかかわらず、携帯電話チップ等の基幹分野ではやはりクアルコムがコア特許を握っており、中国の電気通信設備企業と消費者向け電子機器メーカーに特許の使用権を提供して、中国で高額の特許使用料を受け取っている。
統計データによると、マイクロソフトは、2009~2011年に特許出願が急増し、その後、大幅に減り、2013には327件で中国における米国の出願の11位に順位が落ちた。同じ期間、アップルの特許出願件数は5年間急増して、年平均増加率が24.2%に達している。マイクロソフトの中国におけるポートフォリが次第に勢いをなくしていく一方、スマートフォンやタブレットPCの先駆者であるアップルが中国市場を重視していったことがわかる。
米国の上位10位の出願人にはゼネラルモーターズとフォードの自動車メーカー2社が入っている。特にゼネラルモーターズは5年間の出願件数が第3位であり、中国における特許ポートフォリオでは運輸分野に集中しているが、フォードはエンジン技術に重きをおいている。

図2 中国における米国の特許出願人の出願状況(省略)

(3)技術分野の分布
中国における米国の特許出願は主にコンピューターテクノロジー、デジタル通信、電気機械・電気装置、医療技術、半導体、及びエンジン等の分野に集中している。特にコンピューターテクノロジー分野は5年間常にトップであり、着実に増加する傾向を見せており、これは米国のコンピューターテクノロジーが世界トップであることと整合している。また、アイビーエムやインテル等の多国籍企業が中国市場を更に重視するようになり、特許ポートフォリを強化していることがわかる。
また、米国企業のデジタル通信、医療技術、半導体、及びエンジン等の分野における特許出願件数も優位性が明らかであり、企業の特許ポートフォリオの意識が強い。

表1:中国における米国の特許出願の技術分野別分布表(省略)

2、日本
(1)概況
2009年~2013年の中国における日本の特許出願件数は合計186877件である。2009~2012年の4年間は11.8%の年平均増加率を保っていたが、2013年は出願件数が小幅ながら下がり、2012より1085件減った。しかし中国における日本の特許出願件数は近年常に中国における外国出願のトップである。

図3 中国における日本の特許出願件数(省略)

(2)主な出願人
中国における日本の特許出願は主にグローバルな日本の家電メーカーであり、2009~2013年の特許出願件数が上位10位の出願人は、ソニー(10446件)、パナソニック(9357件)、キャノン(5904件)、トヨタ自動車(5626件)、シャープ(5331件)、三菱電気機械(4204件)、精工エプソン(4069件)、東芝(3988件)、本田技研工業(2707件)、及び富士通(2560件)である。
近年着実に出願件数が上位2位のソニーとパナソニックは日本の代表的な家電メーカーであり、中国における特許ポートフォリオを非常に重視している。ソニーは、2009~2011年は特許出願件数がトップであったが、2012年から下がり始め、パナソニックに追い抜かれた。
データによると、シャープは、2009年~2011年は特許出願が着実に増加し、その後出願件数が大幅に減り、2013年は557件で中国における日本の出願の11位に急降下したが、これはシャープの直近2年の経営不振と関係がある。
米国と似ているのは、日本の上位10位の出願人にトヨタ自動車と本田技研工業の自動車メーカー2社が入っている点である。特にトヨタ自動車の5年間の出願件数は第4位であり、常に着実に増加する傾向を保っており、中国における日本の自動車メーカーの極めて高い市場シェアが知的財産権保護の更なる強化を促していることがわかる。

図4 中国における日本の特許出願人の出願状況(省略)

(3)技術分野の分布
中国における日本の特許出願は主に電気機械・電気装置、光学、音響・映像技術、及び半導体等の分野に集中している。特に電気機械・電気装置分野は5年間常にトップであり、着実に増加する傾向を見せており、これは日本の家電分野の技術が世界トップであることと整合している。また、パナソニック、三菱電気機械、及び東芝等の多国籍企業が中国における知的財産権の保護レベルを引き上げていることがわかる。
また、日本企業のコンピューターテクノロジー、運輸、計測、及びデジタル通信等の分野における特許出願件数も集中している。

表2:中国における日本の特許出願の技術分野別分布表(省略)

3、韓国
(1)概況
2009~2013年の中国における韓国の特許出願件数は合計41065件である。5年間の年平均増加率は16.5%であり、急増している。2013年には出願件数が初めて1万件を超え、2009年の1.8倍になった。

図5 中国における韓国の特許出願件数(省略)

(2)主な出願人
中国における韓国の特許出願は多国籍企業の韓国の電子企業と家電メーカーに集中しており、2009~2013年の特許出願件数が上位10位の出願人は、サムスン電子(7486件)、LGエレクトロニクス(4175件)、現代自動車(2381件)、LGディスプレイ(1757件)、サムスンディスプレイ(1372件)、サムスン電機(1354件)、LG化学(1302件)、LGイノテック(1161件)、サムスンSDI(903件)、及びSKハイニックス(899件)である。
近年安定的に出願件数がトップのサムスン電子はサムスングループ傘下最大の子会社であり、世界最大のIT企業として、近年中国の電子機器市場において大きなシェアを占めている。サムスン電子のテレビ及び携帯電話は中国の消費者から好意をもって受け入れられており、サムスン電子の中国における特許ポートフォリオも年々強化されている。第2位のLGエレクトロニクスの特許出願件数も5年間着実に増加しており、第2位の位置を固めている。
世界の液晶パネルの主なメーカーであるLGディスプレイとサムスンディスプレイは近年特許出願件数が着実に増えており、2013年は中国におけるこの2社の特許出願件数が1000件を超え、中国の主な液晶パネルメーカーである京東方(BOE)の出願件数に近づいた。液晶パネルの製造分野における韓国企業と中国企業との技術競争をはっきりと映し出している。
韓国の上位10位の出願人には、自動車メーカーとして現代自動車が入っており、2011年から韓国企業の第3位である。

図6 中国における韓国の特許出願人の出願状況(省略)

(3)技術分野の分布
中国における韓国の特許出願は、日本に似て、主に電気機械・電気装置、半導体、音響・映像技術、コンピューターテクノロジー、及びデジタル通信等の分野に集中している。特に電気機械・電気装置分野は5年間着実に増加する傾向にある。
また、韓国企業は、光学、電気通信、運輸等の分野においても特許出願件数が集中している。

表3:中国における韓国の特許出願の技術分野別分布表(省略)

4、主な結論
(1)中国における米国企業の出願はコンピューターテクノロジー及びデジタル通信分野に集中している
米国企業のコンピューターテクノロジー分野における特許出願件数は5年間を通して各分野のトップであり、着実に増加する傾向を示しており、米国がコンピューターテクノロジー大国であるという先駆的地位が顕著に示され、特にアイビーエム及びインテル等の中国市場に対する特許ポートフォリオが急速に強化されている。アイビーエムの2013年の特許出願件数は中国における米国出願人のトップであり、同じ分野である中国企業のレノボを追うテンポが加速化している。
デジタル通信分野の特許出願の急増は、クアルコム及びアップル等の中国における知財ポートフォリオの更なる進展に貢献している。なお、クアルコムは携帯電話チップ等の基幹分野においてコア特許を握っており、中国で高額の特許使用料を受け取っている。また、スマートフォン及びタブレットPCのトップであるアップルも中国市場をより重視するようになっている。
(2)日本企業は中国の家電関連分野において重点的に特許ポートフォリオを形成している
中国における日本の特許出願は主に電気機械・電気装置、光学、音響・映像技術、及び半導体等の家電関連分野に集中しており、これは日本の家電分野における技術が世界トップであることと整合している。近年、パナソニック及びソニー等の特許出願件数は、常に中国における外国出願人の上位に入っており、2013年は中国における日本企業の出願件数が減少傾向を示したけれども、家電関連分野における特許ポートフォリオはやはり強化されている。
(3)中国における韓国企業の特許出願は高い増加率を保っている
近年中国における韓国企業の特許出願の増加が顕著であり、2009~2013年の年平均増加率は16.5%に達し、主な国の首位である。特に2013年には特許出願件数が初めて1万件を超えた。中国における韓国の特許出願は、主に電気機械・電気装置、半導体、音響・映像技術、コンピューターテクノロジー、及びデジタル通信等の電子分野及び家電分野に集中している。特にサムスン電子は2013年の特許出願件数が中国における外国出願人のトップであった。

5、提案
1つ目はデジタル通信等の基幹分野の研究開発レベルを引き上げ、技術の壁を打ち壊すことである。クアルコム等が携帯電話チップ等の基幹分野においてコア特許を握り、高額の特許使用料を受け取っている現実に対して、デジタル通信等の分野の技術研究開発力を強化し、外国の技術独占を1日も早く解決し、基幹技術において独自の知的財産権を保有するようにすべきである。
2つ目は自動車製造及び関連分野の知的財産権保護力を引き続き引き上げることである。2013年の中国における日米韓の特許出願人のうち5社の自動車メーカーが出願件数の上位に入っている(トヨタ自動車1249件、ゼネラルモーターズ1123件、現代自動車823件、フォード767件、及び本田技研工業546件)。同時期における奇瑞汽車(Chery Automobile)の出願件数は516件、比亜迪汽車(BYD Auto)の出願件数は489件にすぎず、いずれも上記の外国の自動車メーカーよりも少なくなっており、中国の自動車業界の知的財産権保護意識を高める必要があり、自動車の独自ブランドの知的財産権保護レベルも更に向上すべきであることがわかる。(劉磊)

特許統計ダイジェスト 2014年第12号(通算第164号) 2014年9月18日

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