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商標共存合意(同意書)の効力を考える

--ID軟件有限責任公司と商標評審委員会との商標拒絶査定不服審判行政紛争事件

本件の要旨
共存合意は混同の可能性を判断する重要な考慮要素であるが、共存合意には混同の可能性を排除する効力が必然的にあるというわけではなく、商標自体の類似性、商品の類似性、商標と商品との関連性及び当事者が共存合意に署名した理由等の要素を合わせて考える必要がある。

概要
商標「RAGE及び図」(以下、「出願商標」という)はID軟件有限責任公司(軟件=ソフトウェア)(以下、「ID公司」という)が2010年8月2日に国家工商行政管理総局商標局(以下、「商標局」という)に登録出願したものであり、出願番号が第8533178号であり、指定商品が第9類のコンピューターソフトウェア(制作済)(コンピューター及びゲーム機のコントロールパネルと併用するもの)、ダウンロード可能なコンピューターゲームソフトウェア(制作済)(インターネット及び無線機器を通じて提供されるもの)、コンピューターゲームソフトウェア(制作済)(オンラインインタラクティブゲームと併用するもの)である。
もう1つの商標「RAGE」(以下、「引用商標」)は、ヒューレットパッカードが2007年6月11日に登録出願し、2010年2月14日に認可登録されたものであり、登録番号が第6100838号であり、指定商品が第9類のコンピューター、パーソナルコンピューター、モバイルコンピューター、コンピューターゲームソフトウェア等であり、この商標の専用権は2020年2月13日までとなっている。
2010年12月20日、商標局は拒絶査定通知書を出して、出願商標の登録出願を拒絶査定した。理由は出願商標が引用商標に対して類似商品における類似商標に該当するからである。
2011年1月5日、ID公司は、出願商標が引用商標の全体的な外観、視覚効果及び指定商品とは異なり、識別力があり、商品の出所を識別する役割を果たすことができ、商品の機能用途及び消費対象の点でも異なっており、同一商品又は類似商品に使用される類似商標に該当しないこと、ID公司と引用商標の保有者とが共存合意書に署名していること、実際の使用において2つの商標が混同及び誤認を招いていることを示す証拠がないことを主な理由として、国家工商行政管理総局商標評審委員会(審判部)(以下、「商評委」という)に審判請求をした。また、ID公司は出願商標の予備的査定を認めるよう請求した。ID公司は商評委に共存合意書の公証認証書類の写し及び翻訳を証拠として提出した。この合意書によると、双方は、それぞれ対象とする消費者が異なり、その消費者が特定の分野の上級技術者であるので、2つの商標の共存について誤認しないこと、2つの商標が実際の使用において混同、誤認を招いたことを示すいかなる証拠もないことを認めている。上述した理由により、当事者双方は、それぞれの商標「RAGE」がいずれの国の商標登録機関においても国際市場においても安全に共存することができると確信している。いずれか一方の当事者の商標「RAGE」が他方の当事者の先の出願又は登録された商標「RAGE」の引用によりいずれかの国の商標登録機関に拒絶された場合には、当事者双方は商標登録機関にこの合意を提示することができる。商標登録機関がこの合意を受け入れない場合には、当事者双方は、この合意の目的を実現するように、それぞれ最大限努力して合理的な解決方法を見つけなければならない。
2012年6月20日、商評委が、「第8533178号商標『RAGE及び図』に関する拒絶査定不服審判の審決書」(商評字[2012]第27235号)(以下、「第27235号審決」という)を出した。この審決では次のように認定された。出願商標は或る程度デザインされているものの、消費者はこれを「RAGE」と認識しやすく、出願商標と引用商標とがアルファベットの構成、配列、呼称において完全に同一であり、出願商標と引用商標とが共にコンピューターソフトウェア(制作済)(コンピューター及びゲーム機のコントロールパネルと併用するもの)及びコンピューターゲームソフトウェア等の類似商品に用いられており、消費者の混同及び誤認を招きやすく、類似商品における類似商標に該当している。ID公司は共存合意を提出しているが、出願商標と引用商標とのアルファベットの構成が同一であり、しかも、同一商品に使用されており、消費者の混同及び誤認を招きやすいことを鑑みて、商評委はこの共存合意を承認しない。ID公司は出願商標と引用商標とが実際の使用において消費者の混同及び誤認を容易に招かないことを証明する証拠を提出しておらず、したがって、出願商標は拒絶すべきである。2001年10月27日第9期全国人民代表大会常務委員会の「商標法の改正に関する決定」に基づく第2次改正商標法(以下、「第2次改正商標法」という)第28条の規定により、商評委は、出願商標の拒絶審決を下した。ID公司はこの審決を不服として、北京市第1中級人民法院(裁判所)に行政訴訟を起こした。

判決
北京市第1中級人民法は、審理の結果、次のように認定した。出願商標は或る程度デザインされた「RAGE」という文字及び図形から構成されているが、文字部分は明らかに「RAGE」と認識することができ、一方、引用商標は文字商標「RAGE」であり、両者には微細な差があるものの、商標法の意義における同一商標であると認定することができる。また、出願商標の指定商品はいずれもコンピューターゲームソフトウェアの下位概念であり、引用商標で指定されたコンピューターゲームソフトウェア商品とは類似商品又は同一商品に該当する。したがって、出願商標と引用商標とが類似商品における類似商標であるという商評委の認定は不当ではない。
第2次改正商標法第28条の主旨は、出願商標と先行商標とが同一商品又は類似商品における同一商標又は類似商標に該当しないようにして、すなわち、出願商標と先行商標とが抵触しないようにして、市場の秩序の維持に影響しないようにすることである。先行の商標権の範囲は、指定した商品の分類及び標章をその専用権の範囲とし、その商品の類似商品又は類似商標に該当するものをその禁止権の範囲としており、ID公司が先行商標の具体的な使用方法で先行の商標権の権利範囲を限定することは、法的根拠に欠けている。
出願商標と引用商標との類似性及びその指定商品の類似性に関する以上の論点を鑑みて、共存合意に関するID公司の主張は事実及び法的根拠に欠けている。以上から、北京市第1中級人民法院は「行政訴訟法」第54条第(1)号の規定により、第27235号審決を維持する判決を下した。
ID公司は原審の判決を不服として、上訴した。北京市高級人民法院は審理の結果、原審の判決の認定事実は基本的に明確であり、準拠法は正確であり、手続は適法であり、これを維持すべきであると認定した。したがって、「行政訴訟法」第61条第(1)号の規定により、上訴を棄却し、原判決を維持する判決を下した。

評価分析
第2次改正商標法第28条により、登録出願された商標は、同一商品又は類似商品における他の者の登録済の商標又は仮査定された商標と同一又は類似している場合には、商標局が出願を拒絶し、これを公告しないと規定されている。したがって、先行登録商標の専用権及び禁止権に基づいて、同一商品又は類似商品における後願の同一商標又は類似商標は、通常、登録を受けることができない。しかし、先行商標の商標権者の同意は、上述した権利の妨げを排除する方法の1つである。中国の法律及び司法解釈は共存合意の効力について明確な規定を定めていないが、実務では、商評委及び法院が混同の可能性を判定する要素として共存合意を考慮し始めており、共存合意を受け入れて後願の商標の登録を許可した判例がある。共存合意はほとんどの場合、権利の妨げを排除することができ、これは検討する価値がある。
共存合意は、混同の可能性を判断する重要な考慮要素であるが、双方の共存合意の締結は混同の可能性を排除する効力が必然的にあるというわけではなく、商標自体の類似性、商品の類似性、商標と商品との関連性及び当事者が共存合意に署名した理由等の要素を合わせて考える必要がある。係争の商標が確かに公衆の混同、誤認を容易に招くものである場合には、消費者の利益を保護するという立法の目的に配慮して、第2次改正商標法第28条の規定違反と認定すべきである。出願商標が先行商標と同一であり、かつ、同一商品に使用される場合には、不当な登録であると認定される。要するに、商標の類似性及び商品の類似性は共存合意の効力に影響している。当事者の意思の自律の尊重と消費者の利益の保護との衡量を図るために、2つの商標が同一であり、かつ、同一商品に使用されている場合には、双方が共存合意を締結していても、混同の可能性があると推定され、共存合意が受け入れられない。一方、商標の類似性が低く、又は指定商品若しくは指定役務の関連性が低い場合には、共存合意は受け入れられる。商標の類似性が極めて高く、かつ、商品又は役務の類似性が極めて高い場合には、一律に論じることができず、案件の他の事情に応じて総合的に確定する必要がある。
この事件では、出願商標は芸術的に処理された英文「RAGE」により構成されており、引用商標は活字体「RAGE」により構成されている。出願商標はガラスが割れたような全体的な視覚効果を与えるが、公衆はやはりこれを「RAGE」と認識し、出願商標は構成要素、アルファベットの配列、意味及び呼称等の点で引用商標と完全に同一であり、出願商標と引用商標とは類似性が高い商標であり、指定商品が同一の商品又は類似性が高い商品である。ID公司とヒューレットパッカードとが対象とする消費者が異なっていると共存合意は指摘しているが、ID公司はヒューレットパッカードがコンピューターゲームソフトウェア商品以外の商品でのみ引用商標を使用していることを証明する証拠を提供してはいない。出願商標と引用商標との標章自体及び指定商品等において類似性が高い場合には、コンピューターソフトウェア(制作済)(コンピューター及びゲーム機のコントロールパネルと併用するもの)等の商品にける出願商標の使用と、コンピューターゲームソフトウェア商品における引用商標の使用とは、公衆の混同、誤認を容易に招くと思われる理由があるので、出願商標と引用商標とは同一商品又は類似商品における類似商標に該当し、出願商標の登録は第2次改正商標法第28条の規定に違反することになる。(作者:戴怡婷、北京市高級人民法院)

2016-08-03

商标共存协议效力的考量

——评析ID软件有限责任公司诉商标评审委员会商标申请驳回复审行政纠纷案

本案要旨
共存协议是判断混淆可能性的重要考量因素,但共存协议并不必然具有排除混淆可能性的效力,仍需要结合商标标志本身的近似程度、商品的类似程度、商标标志与商品的关联程度以及当事人签署共存协议的原因等因素予以考虑。

案情
“RAGE及图”商标(下称申请商标)由ID软件有限责任公司(下称ID公司)于2010年8月2日向国家工商行政管理总局商标局(下称商标局)提出注册申请,申请注册号为第8533178号,指定使用商品为第9类的计算机软件(已录制)(与计算机和视频游戏机控制面板联用)、可下载的计算机游戏软件(已录制)(通过因特网和无线设备提供)、计算机游戏软件(已录制)(与在线互动性游戏联用)。
另一件“RAGE”商标(下称引证商标)由惠普公司于2007年6月11日提出注册申请,2010年2月14日被核准注册,注册号为第6100838号,核定使用商品为第9类的计算机、个人计算机、便携计算机、计算机游戏软件等,该商标的专用权至2020年2月13日。
2010年12月20日,商标局作出商标驳回通知书,决定驳回申请商标的注册申请,理由为申请商标与引证商标构成类似商品上的近似商标。
2011年1月5日,ID公司向国家工商行政管理总局商标评审委员会(下称商评委)提出复审申请,其主要理由为,申请商标与引证商标整体外观、视觉效果、使用商品不同,具有显著性,能够起到区分商品来源的作用,在商品的功能用途、消费对象方面亦不同,未构成使用在同一种或类似商品上的近似商标;ID公司与引证商标所有人已经签署了共存协议书;尚无证据表明在实际使用过程中两商标导致了混淆和误认。据此,ID公司请求准予申请商标的初步审定。ID公司向商评委提交了共存协议书公证认证件的复印件及翻译件作为证据。该协议书表明,双方认为其各自所面对的消费者不同并且相关消费者为特定领域的高级技术人士,因此不会对两商标的共存产生误认,并且,尚无任何证据表明两商标在实际使用中导致了混淆误认。基于上述原因,双方当事人相信其各自的“RAGE”商标可以在任何国家的商标注册机构及国际市场上安全共存。如果任何一方当事人的“RAGE”商标被任何国家的商标注册机构引证另一方当事人在先申请或已注册的“RAGE”商标被驳回的,双方当事人可以向商标注册机构出示该协议。如果商标注册机构不接受该协议,双方当事人应当尽各自最大努力来找到一个合理的解决方案以达到该协议的目的。
2012年6月20日,商评委作出商评字〔2012〕第27235号《关于第8533178号“RAGE及图”商标驳回复审决定书》(下称第27235号决定)。该决定认为,申请商标虽经一定设计,但消费者仍易将其识别为“RAGE”,其与引证商标在字母构成、排序、呼叫上完全相同,申请商标与引证商标共同使用在计算机软件(已录制)(与计算机和视频游戏机控制面板联用)与计算机游戏软件等类似商品上,易引起消费者的混淆和误认,已构成使用在类似商品上的近似商标。虽然ID公司提交了共存协议,但鉴于申请商标与引证商标字母构成相同,而且使用在相同商品上,易导致消费者的混淆和误认,据此商评委对该共存协议不予认可。ID公司未提交证据证明申请商标与引证商标在实际使用过程中不易造成消费者的混淆和误认。因此,申请商标应予驳回。根据2001年10月27日第九届全国人民代表大会常务委员会第二十四次会议《关于修改中华人民共和国商标法》第二次修正的商标法(下称第二次修正的商标法)第二十八条的规定,商评委决定:申请商标予以驳回。ID公司不服该决定,向北京市第一中级人民法院提起行政诉讼。

判决
北京市第一中级人民法经审理认为,申请商标由经一定设计的“RAGE”文字及图形组成,但文字部分明显可识别为“RAGE”,而引证商标为文字商标“RAGE”,虽二者存有细微的差别,但可以认定为商标法意义上的相同商标;而申请商标指定使用的商品均为计算机游戏软件的下位概念,与引证商标核定使用的计算机游戏软件商品构成类似或相同商品。故商评委认定申请商标与引证商标构成类似商品上的近似商标,并无不当。
第二次修正的商标法第二十八条旨在避免申请商标与在先商标构成相同或类似商品上的相同或近似商标,即避免申请商标与在先商标形成冲突,而不利于市场秩序的维护。在先商标权的范围以其核定使用的商品类别及标志为其专用权范围、以与其商品构成类似商品或近似商标为其禁用权范围,ID公司以在先商标的具体使用方式限定在先商标权的权利范围缺乏法律依据。
鉴于以上关于申请商标与引证商标近似性及其指定使用商品类似性的论述,ID公司关于共存协议的相关主张缺乏事实及法律依据。综上,北京市第一中级人民法院依照《中华人民共和国行政诉讼法》第五十四条第(一)项之规定,判决:维持第27235号决定。
ID公司不服原审判决,提起上诉。北京市高级人民法院经审理认为,原审判决认定事实基本清楚,适用法律正确,程序合法,应予以维持,因此,依照《中华人民共和国行政诉讼法》第六十一条第(一)项之规定,判决:驳回上诉,维持原判。

评析
第二次修正的商标法第二十八条规定,申请注册的商标同他人在同一种商品或者类似商品上已经注册的或者初步审定的商标相同或者近似的,由商标局驳回申请,不予公告。因此,基于在先注册商标的专用权和禁用权,在后申请的使用在同一种或者类似商品上的相同或者近似商标通常不能获准注册。但在先商标权利人的同意是排除上述权利障碍的方式之一。我国法律及司法解释未对共存协议的效力作出明确规定,但实践中,商评委及法院逐步开始将共存协议作为判定混淆可能性的因素予以考虑,并作出过采纳共存协议核准注册在后申请商标的判例,但是共存协议在多大程度上能够排除权利障碍,仍然值得探讨。
共存协议是判断混淆可能性的重要考量因素,但双方签订共存协议并不必然排除混淆的可能性,仍需要结合商标标志本身的近似程度、商品的类似程度、商标标志与商品的关联程度以及当事人签署共存协议的原因等因素予以考虑。如诉争商标确系容易造成相关公众的混淆误认,为兼顾保护消费者利益的立法目的,应当认定其违反了第二次修正的商标法第二十八条的规定。当申请商标与在先商标相同且使用在相同商品上,则被认为是属不当的注册。综上,商标近似程度和商品的类似程度影响了共存协议的效力。为了在尊重当事人意思自治与保护消费者利益之间求得平衡,两个商标相同并且使用在相同商品上,即便双方达成共存协议,仍应被推定存在混淆可能性,共存协议不应被采纳,而当商标近似程度低或者所指定使用的商品或服务的密切程度较低时,共存协议可以被采纳。对商标近似程度极高并且商品或者服务的类似程度极高的情况,则不能一概而论,需要根据案件的其他情况综合确定。
该案中,申请商标由经过艺术化处理的英文“RAGE”构成,引证商标由印刷体“RAGE”构成。虽然申请商标会给人以玻璃破碎的整体视觉效果,但相关公众仍然会将其认读为“RAGE”,其在构成要素、字母的排列顺序、含义及呼叫等方面均与引证商标完全相同,申请商标与引证商标是近似程度较高的商标,所指定或核定使用的商品为同一种商品或类似程度较高的商品。共存协议虽然指出ID公司与惠普公司面向的消费者不同,但ID公司并未提供证据证明惠普公司仅在除计算机游戏软件商品之外的其他商品上使用引证商标。在申请商标与引证商标的标志本身及使用商品等方面近似程度较高的情况下,有理由相信申请商标使用在计算机软件(已录制)(与计算机和视频游戏机控制面板联用)等商品上与引证商标使用在计算机游戏软件商品上容易导致相关公众产生混淆误认,因此,申请商标和引证商标构成使用在同一种或者类似商品上的近似商标,申请商标的注册违反第二次修正的商标法第二十八条的规定。(作者:戴怡婷,北京市高级人民法院)

2016-08-03

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